ヒノサト
監督:飯岡幸子 (2002|日本|43分)
画家であった祖父が町中に残した絵を辿り、日の里の地を巡り歩く。静かに映し出される町の風景。絵。挿入される祖父の日記。アトリエに光が射し込む時、流れる三つの時間がにわかに接近する。飯岡幸子が映画美学校在籍時に、自身の故郷である福岡県宗像市日の里で制作した作品。
2022年10月21日[金] ― 29日[土]
福岡市総合図書館 映像ホール・シネラ
(福岡市早良区百道浜3-7-1)
1,000円(1プログラム)/4,500円(フリーパス券)
主催‖Asian Film Joint 2022実行委員会(三声舎・LOVE FM)
協力‖福岡市総合図書館、クリエイティブ福岡推進協議会
助成‖公益財団法人福岡文化財団
チケットのご購入について
今回のAsian Film Joint 2022では、一般券・フリーパス券とも、ご予約および前売の販売は行っておりません。
・チケット販売…開演1時間前に当日窓口にて販売開始
・開場…開演30分前に入場のご案内開始を予定しております。
お客様にはご不便をおかけして誠に恐れ入りますが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
フリーパスをお求めのお客様について
満席が予想される上映回については、開演5分前の時点でフリーパスご購入者分のお席を開放し、一般券の販売へ切り替えさせていただく場合がございます。誠に恐れ入りますが、ご来場はお早めにお願いいたします。
お席のご案内について
今回劇場の客席は感染防止対策の規定により、劇場の収容率50%を上限とした席数(最大120席/関係者席含)にてご案内します。また、消防法により立ち見でのご鑑賞は禁止されております。
満席となった場合には、フリーパスをお持ちの場合でも会場受付にてご入場をお断りすることがあります。何卒ご了承ください。
全8プログラム(14作品)
10月23日[日] 15:00/10月26日[水] 18:30
福岡出身の撮影監督・飯岡幸子の小特集。飯岡は昨年、国際的にも高い評価を集めた『偶然と想像』(濱口竜介監督)や『春原さんのうた』(杉田協士監督)で撮影を務めた。目の前の〈風景〉を迎え入れ、場の記憶や残響を映画に映し込む彼女の眼差しを、初期作と最新作の2本を通じて体感する。
監督:飯岡幸子 (2002|日本|43分)
画家であった祖父が町中に残した絵を辿り、日の里の地を巡り歩く。静かに映し出される町の風景。絵。挿入される祖父の日記。アトリエに光が射し込む時、流れる三つの時間がにわかに接近する。飯岡幸子が映画美学校在籍時に、自身の故郷である福岡県宗像市日の里で制作した作品。
監督:杉田協士 (2021|日本|120分)
東直子の歌集「春原さんのリコーダー」の表題歌をもとに、喪失感を抱えた女性がささやかな暮らしを続ける姿を映し出す。第32回マルセイユ国際映画祭グランプリ・俳優賞・観客賞。撮影は飯岡幸子。
撮影監督。映画美学校ドキュメンタリーコースで佐藤真に師事、映像制作を始める。撮影で参加した濱口竜介監督の2021年作『偶然と想像』は、撮影監督の創造性に捧げられるマナキ・ブラザーズ国際撮影監督映画祭でコンペティション部門に選出。ほか撮影作品に、マルセイユ国際映画祭でグランプリほか3冠受賞した『春原さんのうた』や『ひかりの歌』『三度目の、正直』など。自身の監督作品に『オイディプス王/ク・ナウカ』『ヒノサト』がある。
10月22日[土] 18:00/10月28日[金] 15:00
映画を通じて自分たちの〈場〉を考える今年のAsian Film Jointのなかで、本作はその最小の単位をめぐる映画のようにも見ることが出来る。私とあなたの2人だけで育んだ小さな〈王国〉と、その領土を踏み越えてくる〈その家〉での出来事について。
監督:草野なつか(2018|日本|150分)
休職中の亜希は、幼なじみの野土香とその夫でサークルの先輩でもある直人の夫婦が構えた新居を訪れる。温度と湿度が適正に保たれたその部屋で、亜希は野土香の変化を感じ取る。
映画作家。2014年『螺旋銀河』で長編映画を初監督。2018年には長編監督2作目となる『王国(あるいはその家について)』を発表。2019年のロッテルダム国際映画祭での上映をはじめ、英国映画協会BFIが選ぶ「1925~2019年の優れた日本映画」では2019年を代表する作品のひとつに選ばれるなど、期待の俊英として注目を集める。2022年には文芸誌「ことばと」で小説作品も発表している。
10日21月[金] 18:30/10月27日[木] 15:00
いま、大型の都市開発の只中にある福岡から、自分たちの〈都市〉や〈居場所〉、大切な〈風景〉や〈コミュニティ〉に宿っていたものとは何だったかを考える。プログラム③と④では「都市開発と映画」をテーマに、タイとシンガポールの作品を特集する。
監督:トゥンラポップ・セーンジャルーン(2018|タイ|29分)
今では多くの観光客を集めるタイ東部のバンセーン・ビーチ。その背景に絡み合う地方政治の腐敗やタイ映画との関わりを明らかにしながら、土地と“イメージ”の関係を探るエッセイ・フィルム。
作品の舞台となるバンセーンは、バンコクから車で1時間半の距離にある地元民に人気のビーチリゾートエリア。劇中に登場する“ガムナン・ポ”ことソムチャーイ・クンプルームは、“タイ東部のゴッドファーザー”の異名を持つ実業家であり政治家。若い頃から様々な事業を経験し、1968年にセーンスック市の“ガムナン”(※タイ行政の役職名)に就任。以降も酒類業や建築・不動産業、ホテル経営などを手がけ、タイ東部の発展に大きな役割を果たした。1980年には自身を描いた映画『ヌア・ナックレーン Beyond Mafia』を制作・出演、1989年にはセーンスック市の市長に就任。以降も政治的手腕を発揮するが、違法な土地売買や殺人の容疑で起訴され2013年に逮捕。2019年に亡くなっている。
アーティスト、映像作家。バンコクを拠点に活動を行う。アノーチャ・スウィチャーゴーンポン監督のElectric Eel Filmsで『ありふれた話』『暗くなるまでには』『クラビ、2562』『カム・ヒア』の制作に参加するほか、短編『Nightfall』では共同監督も。自身の監督作に『Mangosteen』『Notes from the Periphery』『Squish! 』『Klai(Distinction)』など(いずれも日本未公開)。日本では2020年作『日曜日の人びと』がイメージフォーラム・フェスティバル2020で上映されている。
監督:アナンタ・ティタナット(2022|タイ|65分)
バンコクで50年以上営業を続けた老舗の映画館・スカラ座が、2020年に取り壊されるまでを記録する。閉館していく劇場のようすに、作家自身が劇場で過ごした幼少期の記憶と「映画」の一時代の終わり、そしてタイ社会の趨勢が重なる。
国内最大級の繁華街として知られるバンコク中心部のサイアム・スクエア。1960年代後半、開発間もないこの地区に作られたリド、サイアム、スカラという3つの映画館は多くの人々を呼び込み、同地区はタイで最も地価の高い人気エリアへと発展していく。その後、リド劇場は93年の火事を経てシネコンへ転換し2018年に閉館、サイアム劇場は政治的クーデターによって2010年に焼失した。またタイ各地の単館系劇場も映画の視聴スタイルの変化などにともない700館以上が姿を消していくなか、ついに2020年、タイ映画界の至宝であったスカラ座も取り壊された。
映画監督。タイのバンコクに生まれ、映画館で働く父を持ち、自身も劇場で幼年期を過ごす。2010年、タイの民主化を求める赤シャツ隊に対する軍の弾圧をきっかけとして、アビチョン・ラタナバヨンとともに短編ドキュメンタリーを共同制作。以来2人で作品の制作を続けている。初の長編作品となった『スカラ座』は2021年「山形ドキュメンタリー道場3」に参加した後、ベルリン国際映画祭2022フォーラム部門で初上映。
10月22日[土] 15:00/10月28日[金] 18:30
監督:マーク・チュア、ラム・リーシュエン
(2021|シンガポール|23分)
1998年アジア金融危機の只中に、男とその家族は“最後の日”を過ごすためセントーサ島を訪れる。近年の開発で土地の記憶が忘失されゆく島を舞台に、不確実な時代を覆う不安と恐怖をとらえる。
映画の舞台となるのは、シンガポール南部のセントーサ島。現在では人気の観光地だが、イギリスによる植民地時代には軍事基地として、そして日本占領下には捕虜収容所としてそれぞれ使用されてきた歴史を持ち、「ブラカンマティ島(死が潜む島 / Blakang Mati)」と呼ばれた島でもある。監督は、急速な再開発によって、“密集した小さなエリアにレジャーと資本と忘却のレイヤーを重ねて変容を続ける”この島のようすに、現在のシンガポールそのものを重ねてもいる。また、劇中で暗示される「アジア金融危機」は、1997年アジア各国の通貨下落をきっかけにアジア圏全体へ広がった経済危機。本作に登場する人物たちのようすは、当時大きな不安を前に動転していた監督自身の両親の記憶が投影されたものであり、また、先行きの見通せない現代を生きる私たちのようでもある。
映画監督、アーティスト。シンガポールを拠点に、映画や音楽を手がける制作スタジオEmoumieを2人で運営。2019年に発表した長編第2作『Revolution Launderette』は第30回シンガポール国際映画祭をはじめ世界各国の映画祭で上映。最新短編『セントーサ、地球最後の日 A Man Trembles』は、2021年シンガポール国際映画祭で最優秀東南アジア監督賞を受賞した。
監督:ルーシー・デイヴィス
(2021|シンガポール・フィンランド|28分)
1960年代に旧マレー鉄道の国有地に建てられた公営住宅タングリン・ホルト。再開発のため取り壊しが決まっているこの地区の風景と音を通じて、変わりゆく土地と、そこに息づいていた者たちの残響をたどる。
タングリン・ホルトは、1960年代のシンガポールで旧マレー鉄道の線路沿いに造られた公営住宅地区。この線路沿いの一帯は2011年までマレーシアの国有地であったため、50年ものあいだシンガポールの中心を走る幅10メートルの“開発不定地帯”となっており、人間以外の生態系には恵まれた活動の場になっていた(鳥類学者によれば、この一帯だけで105種もの鳥が観察されたという)。現在、線路沿いのエリアは緑の回廊公園として再利用されつつあるが、かつて名を馳せた住宅建築は取り壊され、低所得者たちも退去を余儀なくされた。地区に息づいていた名もなき社や共同農園、集会所も撤去されたという。作家はこの地区にくり返し足を運び、残された記憶の断片や響きを“葉から漏れる影を追うように”辿り、作品にしていった。
映像作家、アートライター。2009年に東南アジアを中心にアート、エコロジー、人と人とのつながりなどを学際的に探求する「The Migrant Ecologies Project」を創設。様々なリサーチや制作活動を行っている。また、シンガポールの南洋理工大学(NTU)アートデザイン&メディア学部で創設メンバーとして活動した後、2016年より准教授。現在、フィンランドのアールト大学で視覚文化や現代美術の教授を務める。これまでの作品は各国の映画祭や芸術祭で上映されてきた。
監督:タン・ビーティアム (2020|シンガポール|88分)
人間の幸福度を数値で測り“世界一幸せなコミュニティ”を創り出すプロジェクトの職員となったアビー。住民たちとの交流を通して、人生の不条理と幸福の在り処を見つけていく。
(字幕協力:大阪アジアン映画祭)
“世界一幸せな場所”を求める本作のテーマは、共同脚本家のアンティ氏が“世界一幸せな国”のフィンランドから、“世界一感情的でない国”※のシンガポールへ越してくることに驚いた監督自身のエピソードから発想された。映画の舞台となったのは、チョンバル地区とバーバンク・アパートメント。アールデコ建築が美しいチョンバル地区は1930年代に開発されたシンガポール最古に数えられる公共住宅街で、現在も保護区域として遺されている。他方、ブルータリズムの影響を受けた高層集合住宅であるバーバンク・アパートメントは1976年に建設され、2020年に惜しまれながらも取り壊された。いずれの空間も、当時のシンガポールが夢見た共同生活のビジョンが反映されており、今回の作品にとって完璧な舞台だったと監督は語っている。
※GALLUP社,2012調査による
映画監督、プロデューサー、脚本家。2013年の監督作『Julia’s Coffee』がシャルジャ・ビエンナーレ2013でアピチャッポン・ウィーラセタクンによって選出。レイ・ユアンビンと共同監督した長編『Fundamentally Happy』ではクリストファー・ドイルを撮影に迎えた。長編デビュー作となる『チョンバル・ソシアル・クラブ』は釜山国際映画祭でプレミア上映され、2021年には大阪アジアン映画祭でも上映。また13 Little Picturesとともに多くの作品でプロデューサーも務めている。
10月23日[日] 11:00/10月27日[木] 18:30
Asian Film Jointは映画に限らず、自分たちの街に宿る様々な文化資産との連携、活用を目指す。今年は福岡アジア美術館のコレクションに収蔵されている映像作品から1本を選定し、同作家の最新映像作品とともに併映する。プログラムのタイトルは上映する両作品に加え、こうした活用に向けたAsian Film Joint自体のテーマでもある。
監督:グエン・チン・ティ(2013-14|ベトナム|5分)
人々が何かを指差すスライド写真は、作者がベトナムの社会問題を扱ったネット記事から採取したもの。淡々と映写されていく写真に、名もなき市民たちの無言の訴えが宿る。福岡アジア美術館所蔵作品。
ベトナム国内では芸術作品の展示の際に政府への事前の届出と許可が必要とされるため、政治的な内容を取り扱う際には暗示的な表現を取らざるを得ない状況がある。本作も作品のなかではそれぞれの写真が何を示しているかについては直接的な説明は成されないが、そのことがかえって作品に形容しがたい緊迫感を与えている。本作は「第5回アジア美術トリエンナーレ2014」に出品後、福岡アジア美術館に収蔵されている。
監督:グエン・チン・ティ (2021|ベトナム|47分)
視覚と聴覚、私たちはどちらを頼りに世界を認識しているか。ある先住民の生活様式が失われていく様子を映しながら、“目”の文化に偏った私たちが、見えないものに“耳”を澄ますための方法を探る。
本作は、視覚メディアによる影響力が支配的な西洋文化が世界の標準とされていくなかで、監督自身が一人の映像作家として「視覚イメージの物語力に抵抗する必要性と責任」を抱いたことが制作の背景となったという。未知のもの、見えないもの、アクセスできないものや現前していないものに注意を払い、聴覚的風景への感覚を研ぎ澄ませることで、新しい“世界認識の方法”を模索している。
映像作家、ビデオ/メディア・アーティスト。米国でジャーナリズム、写真、国際関係、民族誌映画などを学び、ハノイを拠点に活動を行う。これまでの作品はジュ・ド・ポーム国立美術館やボルドー現代美術館をはじめ、リヨンビエンナーレ(2015)や福岡アジア美術トリエンナーレ(2014)、オーバーハウゼン国際映画祭など、様々な芸術祭や映画祭で上映されてきた。また2009年よりドキュメンタリー映画やビジュアルアートのための独立系メディアセンター、Hanoi DOCLABの創設者兼ディレクターを務めている。
10月22日[土] 11:00/10月26日[水] 15:00
2021年、アジアフォーカス・福岡国際映画祭の終了を機に始動したAsian Film Jointでは、今後も映画祭が育んだ土壌から生まれ出る作品や活動に光を当てる。今年は同映画祭が実施してきたアジア映画の商談会=ネオシネマップ福岡での出会いをきっかけに制作された神保慶政監督らによるイラン・日本・シンガポール合作『オン・ザ・ゼロ・ライン 赤道の上で』のプレミア上映を行う。
監督:神保慶政、メールダッド・ガファルザデー
(2022|イラン・シンガポール・日本|76分)
言葉を無くした詩人と、子どもを流産で失った女性。交わるはずのない2人が赤道上で出会う。イランと日本で2人の監督が互いにストーリーを知らせぬまま共同制作を進めた実験的手法の作品。
本作を共同監督した両氏は、互いの制作内容を知ることなしに自らのパートを制作する、シュルレアリスムの「優美な死骸」という共同制作手法によって作品づくりを進めた。その後、赤道直下のケニアで両監督と主演俳優同士が初めて顔を合わせ、映画の最終章の制作を一緒に行ったという。現実の世界で人は互いの背景を知らぬまま出会うように、監督同士も相手の全容を知らせ合わず、出会ったところから生まれるものを迎え入れ、作品を完成させた。
監督:神保慶政 (2017|韓国|19分)
釜山でライターとして働く妊娠7ヶ月のミナは、現地の人々の「最初の記憶」をテーマにした記事の取材に奔走する。カメラが見つめる風景に様々な想いが宿る。監督が韓国・釜山を舞台にオール韓国語、韓国人スタッフ&キャストで完成させた。
映画監督。2016年に東京から福岡へ移住。以来、アジアフォーカス・福岡国際映画祭に関わり続けプログラマーも務めた。同映画祭の商談会部門「ネオシネマップ福岡」で得た人脈を活かし、イラン・シンガポールとの合作で長編第2作『オン・ザ・ゼロ・ライン 赤道の上で』を完成させる。2021年にはベルリン国際映画祭の人材部門「Berlinale Talents」に選抜、福岡市内のモアミザン社やSALT社への企業参画が評価される。
10月21日[金] 15:00/10月29日[土] 15:00
プログラム⑦⑧では、福岡の貴重な文化資産であり映画の現場である〈フィルムアーカイヴ〉に注目する。映画が急速にデジタル化や配信視聴へ移行していく今、改めて〈フィルムアーカイヴ〉で重ねられている営みとその想いに触れる機会としたい。10/29には「世界視聴覚遺産の日」を記念したイベントも。
監督:ルー・ユエンチー (2019|台湾|63分)
新北市「国家電影中心※」のフィルムアーカイブで、日々フィルムの保存や修復に勤しむ職員たちの姿を追う。フィルムに記録された遠い過去を未来へ引き継ぐ彼らの活動と理念が映される。
※劇中当時
「国家電影及視聴文化中心(台湾映画と視聴文化センター、Taiwan Film & Audiovisual Institute, TFAI)」は映画および視聴覚資産の収集等を行うフィルムアーカイブ。台湾で唯一の行政機関として、これらを保存、修復、研究、普及し、一般に公開することを使命としている。1995年に国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)に加盟。作品撮影当時は「国家電影中心(台湾映画センター、Taiwan Film Institute, TFI)」だったが、2019年に財団から行政機関にアップグレードし、現組織へ改名している。2022年時点で20万点以上の映画・視聴覚関連資料を保管。2008年にはフィルムのデジタル修復も開始し、2022年までに56タイトルの共同修復と、19タイトルの自社修復を完了している。
10月29日[土] 18:00
監督:キン・フー (1979|台湾・香港|121分)
「アーカイブ・タイム」作中で修復されていた本作のデジタル修復版を特別上映。仏教寺院の跡継ぎをめぐる権力闘争と秘伝の巻物の争奪戦を交えた、巨匠キン・フー監督の代表作。(提供:竹書房/Blu-ray・DVD発売中)
“香港の黒澤明”とも呼ばれ、ブルース・リーやジャッキー・チェンなどに絶大な影響を与えたワイヤーアクションの祖、キン・フー監督。アクション映画を芸術の域にまで高め『俠女』(1971) では中華圏作品として初めてカンヌ国際映画祭での受賞を果たしている。本作『空山霊雨』は、『山中傳奇』(1979)と同時に制作が進められた姉妹作ともいうべき作品で、第16回金馬奨では最優秀監督賞を含む 5部門受賞をはじめ、2005年の香港フィルムアワードでは「中国映画ベスト100」にも選出されている。